お風呂はキライ
いよいよだった
最初は隠れてたが葛藤もあった
このままでよいのかどうか
不潔猫のままで
いつも椅子に座ってる人のご飯が終わって
「ねこはおるか?」と遠くでおっさんのおばさんがさけんでいる
"ねこ”てよ
左官屋の兄ちゃんですらみたきのミツナリって呼ぶぜ
裏口でつかまっていよいよ観念した
おっさんのおばさんは慣れた手つきで僕を抱えた
昔、何度か男前がいたらしかった
そのお風呂の役割だったらしい
なまぬるいバケツにつけられた
「いっ!」
手足がぬれたり雨にぬれたりは平気なのに
この感覚は何だ!
全身の毛がぶわっと広がり、ぴたっとひっつく
手荒く犬用シャンプーでごしごしやられた
オカマみたいな声が出た
そしてやはり手荒くバスタオルでごしごしと
気持ちいいのか悪いのかわからんまま終わった
くたくたでお店に来たら
お魚の薫製みたいな美味しいのをおっさんがくれた
うまかった〜
たぶんお風呂の後は薫製だぞという訓練だな
そういうとこはちゃんと見透かすぜ
僕はそこらへんのもんとはちょい違うからな
しかしお風呂はきらいだ
スキになる努力もしない