ミツナリの軌跡

最近怪我がたえない
昨夜は目の上をやられた
つめもいっこなくなって
いっこはハンタイ向いている
なんもそんな闘わんでもと人間はいうが
テリトリーは僕らにとってとても大切だから
一応このへんはおさえたしがんばってきた
でも流れが来るとでんならん
うしろから「おいおまえさん」と
声をかけんならんのよ
けんかはしたくはないんだが
これはしかたのないことなのさ
ぼくらは特に僕はご先祖様のことを忘れない
とおいむかし原っぱでうなりをあげていたであろう
大きな虎の皆さんのごとく
ぼくもまいあさ朝日とともにうなってる
ガオーとすっげーかっけー感じで
でもニャーとしかでないのではあるが

おっさんが中庭で何やら頑張っている
さっきまでメダカのお水をさわってたのに
おっさんのおばさんに叱られた僕を見て
大笑いしてたのにもうちがうことをしてる
僕が時々眠りこけるSRを引っ張り出して
ぎこぎこ大変そうだ
そうこうするうちに今度は押し出した
おもそうに押して向こうに消えた
あきらめたんだな

皆には見つからん場所でもう一眠りと思ったら
遠くから雷のような大きな音が聞こえて来て
店前でとまった
へんなかっこの人間がおりて
あたまのカバーをとったらおっさんだった
おっさんやん！

しばらくたっておっさんはSRにまたがって
いってしまった
バリバリいわせて
うるさいうるさい
ぜったいこれは怒られよるで〜

しかしあれはああやって動くもんだったんだな
うごいてるとこはじめてみた

朝からミーティング中に
おっさんにだっこされてうとうとしてたら
もう中年やのにこれどうよ？と
おっさんに言われた
無視して寝てたらココロに手渡された
花番頭は営業に出かけ待ちぼうけらしい
超かわいそ

あと一ヶ月で僕は中年になる
僕は誕生日は覚えてないが
みたきの門を叩いたのが
１１月末だったから
そのへんが僕の誕生日らしい
このまえ注射された時に
病院に年齢表がはられてて
おっさんがにやにやつぶやいた
みつうはもうじき中年やな
僕と一緒やと
ぼくらの種はまる三年で中年になるらしい
ぼくが中年てか
中年
なんといやな響きだろうか
僕は青年でありたい　ずっと
きれいだしオトコ前だし強いし
なんと中年が似合わない僕であることよ

もうじき１１月になる
おっさんにおっさんと呼ばれることは
まちがいないだろう
無視する準備にとりかかろう

当時４キロ程度だった僕をだっこして
こら７キロはあるなとおっさんが言った
ちょい重いのは十分わかってた
これも中年効果なのか
それとも食欲の秋なのか

しかし中年て　慣れるものなのか

次から次におじさんがおっさんを訪ねてくる
葉書や紙を持って次から次に
土いじりをしているおっさんは
メンドクサそうではあるが
それでもニコニコとみんなと話している
おっさんはえらいな　というか大変だね
僕のように無視したり出来ないからね

昨日からマイク付きの車が
広小路の通りを行ったり来たりしている
おばさんががなっている
寝られたもんではない

秋は僕らにとって大切な季節で
冬に備えて食っちゃ寝食っちゃ寝しないといけない
のにも関わらずこのありさまだ
花番頭がこさえてくれた奥のベッドは
幾分ましで　最近はそこにいる

広小路の騒がしい通りは
いつまで続く？
おっさんのニコニコは
いつまで続く？
僕は心配でならない