ミツナリの軌跡

ずいぶん寒くなった
お昼間からお店では練炭が燃えて
ほーっと暖かい
夜もそのまま暖かい
段ボール箱に座布団のベッドには
湯たんぽまでも
大切にされてるなーと思う
もう1年たつのに　ずーっと愛されている
幸せな僕なのだと思う
しかし今日は暖かいからずっとお外だ

今日いきなり注文が入ったと言って
おっさんは市場に出かけてった
いつもはもっと早いのに
で、お土産を買ってきてくれた
ぬいぐるみの付いた変な葉っぱみたいなん
僕が喜ぶとおもて

しかし僕は中年である
うれしいわけがない
無視した

しっかり脂ものってきたし
体重もある
顔の横巾もふえてきた
さあいよいよまちわびた中年期
どうどうと歩く練習に時間をさいている

でっかくなったがスズメにさとられず近づける
しっかり自然といったいかするのだ
もうすでに町はしきった
身体中の傷はノウハウの証だ

この前お店に帰りおっさんにだっこされてたら
お客さんの人間が「かずろうさんの大切ってこの子のことですか！？」
とおどろきよろこんだ
なんかの広告にでも僕のことを書いたのだろう
そう　僕はおっさんに愛されている
種別や性別を越えた
これはおおきな燃えるような恋だ

ある種おっさんも僕もそっち系なんかもしれん

してやられて慌ててお店に入った
お店にはおっさんが店番してた
さっきまで花番頭だったのに
で、「ごはんか？」ときかれ
おっさんはご飯場に行った
「ちがうねん！」

早速出たそうな僕をみて
「いくか？」とだっこされた
そのまま細道をだっこされたまま奥へ行った
小さな畑があるお気に入りだ

「いやがった」
最近天敵の黒大と仲良しのホルスタインだ
迷った　ぐねぐねを繰り返して無理矢理降りて
闘うか？このままか

闘うに決めた

ぐねぐねを開始してふっとおっさんをみたら
めっちゃこわかった
スゴイ勢いでホルスタインにメンチきってる
めっちゃすごい

もうぐねぐねはやめた

おっしゃん

最近夜な夜な出かけている
見回りと新規会員獲得に忙しい
喧嘩になってしまうことが殆どだが
ゆうべ出勤途中に女将さんに見つかった
危ない交差点付近で
捕まりたくないからポストの周りを
わ〜っっと走りまわって　捕まった
そのまま交差点を越えてココロに連れてかれた
以前にもいっぺん来たことがある場所で
お花屋とちがってここは洋風だね
僕によく似合う
よく見る顔の人間がいっぱいいて
机を囲んで話し込んでいる
もちろんおっさんはその中心だ
かまってほしいのと見回り行きたいのとで
騒いでたが誰も無視してほっとかれた
無視は僕の戦法なのだよ
そのうち眠くなってカウンターで寝た
くすくす笑い声がするから振り返ると
会議中に花番頭とこころが僕をみている
みんなに丸見えだったのだ　自慢が

もう一年か　この場所に来て
三瀧会議の直後ここにきたから
みたきの理想が成就するようにと
みつなりって名前がついた
キオクはすでにうすいが
ずいぶんとここの人間達には世話になった

がんばれよ　おまえら
しっかり働いて来年喜びな
僕はあんまり手伝えないが
営業部長としてなるべく平等に愛想を振りまくよ
そしてずっといさせてくれよ