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Posted by 滋賀咲くブログ at

2009年05月14日

寒い夜のこと/エピソード1

最近この辺りをウロツクようになった。
人間達は不親切だが悪い人間はいないようだ。
時々くれる小魚の干したんなどで飢えをしのいでいた。
ある日訪れた一軒の民家。何かくれるかもしれないので
裏口にきちっと座り様子をみた。
カーテンが開いて僕を見つけた人間の女が
「おはよう」と言った。
こんな反応は初めてで戸惑ったが悪い気はしなかったし
この辺りにいることにした。
1週間ほどつかず離れずで観察した。
そして急に寒い日になり夜になった。
空腹と疲れで不安だった。越せるかどうか怖かった。
うずくまってたら家の人間が外で何かしてた。
なぜか呼んでみようと思った。「すいません」
するとその男は意外にも「おいで」と。

僕は小走りで近づいた。

頭をなでてくれて「お前も大変やな」って。
そして「ついてきな」と言って歩き出した。
お店の入り口でしばらく中の人間達を見てから
扉を開けてくれた。「はいるか?」

僕はためらわず 入った。

他の人間達はきょとんとして僕を見た。
朝挨拶したことのある人間の女が
「お前来たんか」と言ってわらった。

そしてその男は他の人間達に言った。

「こいつの面倒みるわ」

暖かかった。そして初めて安心した。


Posted by ミツナリ at 19:03 Comments( 0 )